報道関係者各位 平成20年5月29日
【 人気ドラマからDVへの理解を「なぜ愛する人から暴力を受けるのか?」 】
DV(=ドメスティックバイオレンス)問題の特徴は被害者意識が欠落していることで、前もって暴力を回避できず、対処が遅くなり、被害が拡大することだ。問題解決には周囲の人間の協力が必要である。男女問題専門の露木行政書士事務所・露木幸彦がドラマの内容と相談実例をもとに解説する。
フジテレビ木曜10時「ラストフレンズ」(長澤まさみ、上野樹里、瑛太ら出演)が関心を集めている。検索急上昇ランキングでは3位(goo調べ、20年5月4日現在)第4話の視聴率は15.9%(同5月1日、ビデオリサーチ社)ドラマを通じてDV問題を理解する良い機会だ。
DVの最大の特徴は「被害者意識の欠如」だ。被害者本人が暴力を愛情表現だと勘違いする。欠如の弊害の1つは「前もって暴力を回避できないこと」もう1つは「対処が遅くなること」。その結果、暴力がエスカレートし、肋骨骨折などの重傷を負ってはじめて当事務所に相談に来る。
【 解決には暴力の事前回避ではなく再発防止 】
まず「前もって暴力を回避できない」のは赤の他人から受ける暴力行為と違い、DVは心から信用している相手が加害者だからだ。DVは男女間で起こるものだが、夫婦なら配偶者、デートDVなら恋人が加害者になる。ドラマでは女性(長澤まさみ)が同棲相手(錦戸亮)から暴力を受けてしまう。問題を解決するには暴力の事前回避ではなく、再発防止に重点をおく必要がある。
欠如の弊害のもう1つは「対処が遅くなること」。ドラマ内では第1話で口論の末、張り飛ばされるという暴力が、第4話では屋外で殴られ、血が出てアザができるという暴力にエスカレートしている。第1話の段階で法的手段を講じていれば、被害の拡大は防ぐことができた。法的手段とはDV防止法の保護命令だ。保護命令とは地方裁判所が加害者に対し6ヶ月間、被害者への接近を禁止するもの。この命令に違反した場合、1年以下の懲役刑や100万円以下の罰金刑が課される。同法は20年1月に改正され適用対象が拡大した(下記表を参照)
「被害者意識の欠如」を解消するには周囲の人間の協力が必要。両親や友人はDV問題を他人事と思わず、自分の周りに被害者を見つけたら「暴力は愛情表現ではないこと」「法律で解決できること」を伝えてもらいたい。
<DV防止法の改正ポイント>
被害者の範囲
旧法 被害者とその子供
現行法 被害者の親族その他被害者とその社会生活において密接な関係を有する者
暴力の範囲
旧法 身体的暴力
現行法 被害者の親族その他被害者とその社会生活において密接な関係を有する者
◆ 参考URL「長澤まさみのドラマから学ぶDV講座」
DV法・保護命令、加害者への慰謝料請求方法を解説
http://www.tuyuki-office.jp/rikon4397.html
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